授乳と嚥下
2025年6月16日

こんにちは。今日は「授乳と嚥下」です。
東京大学の研究では母乳で育つと、乳児期に感染症にかかりにくくなり重症化のリスクが下がるだけでなく、白血病、糖尿病、注意欠陥・多動性障害のリスクが下がり、知能の発達がよくなるとあります。
また、母乳育児をした母親では乳がん、卵巣がん、糖尿病などのリスクが下がります。そこで、WHO や米国小児科学会など、多くの保健機関や学会が生後 6 か月間は母乳のみで育てることを推奨しています。
授乳の時期は?卒乳について
授乳の時期についてですが、WHOは2歳までの母乳育児を推奨していますが、日本の厚生労働省は1歳6ヶ月までを推奨しています。
現代社会においては、母親も仕事をしている場合が多くWHOなどが言うように栄養や口腔周囲筋の発達だけを見て2歳まで授乳をし続けることは一般的ではないかもしれません。
これは家庭環境にもよるので難しい問題ですが、最近の哺乳瓶の完成度は大変高いため、口腔周囲筋の発達という点ではそれほどこだわる必要はないのかと考えています。
舌が前にでしまうのは?
赤ちゃんは口腔の大きさに対して舌が大きいので普段から舌が出ているのが見えてもそれほど気にすることはありません。ただし、巨舌になる先天異常(生まれつきの異常)もあるのであまりにも目立つ場合は小児科・小児歯科医などの専門家に診てもらうのもよいでしょう。
授乳が長すぎるとよくない影響はあるのか?
生後半年までは母乳や人工栄養での栄養補給になりますが、半年ごろから離乳食も始まります。歯は「舌と口唇」の間に並んでいきますから、舌や口唇などの筋肉のバランスがとても大切になるのです。
舌や口唇の筋肉を鍛えるためには母乳などの授乳が必要になるのですが、母乳が出なくなってからおっぱいをあげているとよくありません。
おしゃぶりや指しゃぶりもそうですが、舌が上顎前歯(まだ生えていなくても)よりも前方へ出しながらでないとうまく飲み込めないのです。
おっぱいが出ないのに授乳し続けた場合、舌を前方へ突出させて嚥下する癖がつきかねません
この謝った嚥下が開咬や上顎前突になる舌突出癖を引き起こしかねないのです。
大人でも赤ちゃんの哺乳瓶を吸ってみてください。自分が舌を前方へ突出させないと飲み込めないことが分かります。最近の
哺乳瓶は非常によくできているので(なぜか月齢が進むと飲みやすくなってしまうのは・・・ですが)大人でも深くくわえて
舌をうまく使わないと飲み込めないことが分かるでしょう。ただ、これが正しい嚥下と舌の動きが違うことが分かると思います。
次回は、授乳よりも大切な離乳食についてもお話しします




